『なまはげ大作戦』

■甥っ子にだまされた!

 事件は2005年の正月に起きた。

 その時、私は祖父の家でのんびりと甥っ子の世話をしていた。3ヶ月に一回くらいのペースで会っている甥っ子も、そろそろ1歳である。まだ歩くことも、しゃべることもできないが、2ヶ月ほど前から「つかまり立ち」で歩く楽しさを覚え、家中をウロウロと歩くようになった。

 面倒を見ていた私は甥っ子がストーブに近づいたため、肩をつかんで後ろに下げた。すると甥っ子が大きな声で泣き出してしまった。すまない気持ちでいっぱいの私は「ごめんね」と優しい言葉をかけた。

 するとどこからか「嘘泣きはやめなさい」という声が。私の母親。つまり、甥っ子のおばあちゃんの声がした。

 …嘘泣き? 不思議な事を言うものだ、かわいいあの子が嘘泣きなど…。そう思って甥っ子を見ると、な、泣いてない。全く涙など出ていないのだ。やられた…。私は甥っ子にだまされたのである。

 くそ〜、悔しい。私は意外と根に持つタイプ。絶対に復讐をしてやろうと心に決めた。

■仕返しのチャンス到来!

 1月9日。昼過ぎに起床。すぐさまNさんに電話。

 「浅草に行くぞ!」
 「分かった」

 こうして復讐への旅は始まった。計画はこうだ。今日は甥っ子の1歳の誕生日会を実家で行う。そこで私の最近のマイブームである、ナマハゲで襲いかかるのだ。嘘泣きする奴にぴったりなこの計画に向けて、まずは鬼のお面探しに向かった。

 2時半にNさんと合流。彼女は今回の協力者である。急ぎ足で山の手戦に乗り込む。今日は日曜日。普段は殺伐とした山手線だが、今日はのんびりとした雰囲気に包まれている。そこに冬の穏やかな日差しが降り注ぐ。すごく気分が良い。

 だが私の心はザワザワしていた。やってやる。甥っ子に復讐してやる。盛り上がる気持ちを抑えながら、上野で乗り換えて地下鉄へ。浅草の手前の田原町で下車。最初の目的地「かっぱ橋」を目指す。

 かっぱ橋に着いたのは午後の3時だった。夜のパーティーは7時からである。時間がない、すぐさま歩き出す。すると、早速、かっぱ橋の入り口にお洒落な和風の食器がズラリと並んだ店を発見。なんとお茶碗が190円だ。Nさんが食いつく。店内の奥へ入ろうとしたNさんの腕をひっぱって店の外へ連れ出す。

 「いいか、目的はお面だ。忘れるな」
 「そうだった。忘れてた。ごめん」

 そう、「かっぱ橋」とは、食器や業務用の調理器具、椅子、テーブルなどの揃った飲食店を開業している人向けの問屋街なのだ。ここの特徴はとにかく安いこと。それと一般のお店には売ってないおしゃれな物が多いことである。つまり、魅力いっぱいの街なのだ。小物には目がないNさんは、とにかくことごとくお店に入ってしまい、時間はどんどん過ぎていく。

 結局、一周したがお面はなく、そのうえ「ちょっとだけ」と二人ともそれぞれ和食器を1時間も吟味して大量に購入。荷物を抱えたまま次の目的地、浅草へ。

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