伝説のドキュメンタリー映画『ゆきゆきて神軍』。ちょっとアンダーグラウンドな世界に首を突っ込んだ人なら誰でも知ってる。ジャンプで言ったらスラムダンクぐらい有名な作品。
映画の内容は「天皇にパチンコを打った男」、前科4犯の奥崎謙三(キ○ガイ)が戦時中の自分の上官に会いに行って怒鳴って殴ったり、病院に入院している戦友を殴ったりする最低の映画。ようするにキ○ガイの記録映画。でも、この映画には戦争とは何なのか、ということの1つの側面があると思う。
私はこの映画を高校生の時に見たけど、けっこう衝撃的だった。
さて、今回紹介する本は当時の撮影の記録を監督が綴ったもの。だが、奥崎がいる以上、普通の手記になるわけがない。
映画では奥崎が怒りまくっているのだが、実はあれは彼にとってある意味「演技」だった、という衝撃の事実。
また撮影中に奥崎が監督に「私は○○を殺しますから撮ってください」と迫ったという記述にはさすがに驚いた。
それと、本書で知ったのだが、実はニューギニア(奥崎が戦時中にいた場所)ロケも行われていたのだ。だが、当地で無断撮影をしたためフィルムを没収されてしまい、なんとか交渉したが返ってこなくて、国内にあるフィルムだけであの映画を作ったという。しかもフィルムが返ってこない理由は、結局、奥崎が最後に殺人を犯して(撮影はしなかったが映画内ではテロップで表示される)、犯行の動機の中で「あいつを殺した後にニューギニアの大使を殺そうとした」と語ったためであるという。まぁ〜とにかく衝撃だらけ。まじでキ○チガイ。
でも、文章のあとがきにある、奥崎が奥さん(故人)への手紙の最後に付けた一連のキャッチフレーズは抜群に良かった。
「人生劇場の大根役者である謙三より/人生劇場の裏方衆である シズミ様へ」「真理のメッセンジャーボーイ謙三より/真理のメッセンジャーガール シズミ様へ」「非国民の人間の走り草分けであります、負けても神軍の平等兵の謙三より/前科4犯の夫を誇りに思っている シズミ様へ」「本当のメシアである謙三より/本当のメシアの妻である シズミ様へ」「誰よりも多く自分を愛する謙三より/神戸の女神・妻 シズミ様へ」。
暴力的ですぐに怒るキ○チガイのおっさんが、田舎のおばちゃん風の奥さんに送った愛情溢れる手紙の最後の一文の数々にちょっと泣きそうになった。
※服役後の奥崎謙三については以前の日記でも書いているので、そちらもぜひ参照してください。
http://www2.odn.ne.jp/~hak33740/about/nikki2003.3.html